聞き書き甲子園について

「聞き書き甲子園」とは・・・

名人と高校生 日本では古くから、森や川、海の自然を守り育て、その恵みを得る中で、自然と共生し、持続的に暮らす知恵や技を培ってきました。森で木の実やキノコ、山菜、動物をとり、海や川で魚をとる。木を使って暮らしの道具をつくり、炭や薪を燃料にする。草や木の繊維から糸を紡ぎ、布を織る。落ち葉をかいて田畑の肥料にする――。
 しかし、1960年代の高度経済成長期を境に、その暮らしは大きく変わりしました。木でつくられていた道具はプラスチック製になり、炭や薪といった燃料は石油をはじめとした化石燃料へと代わっていきました。手入れのされなくなった森は荒廃し、人と自然の関わりが薄れていった結果、海や河川の汚染、洪水などの災害、生物多様性の減少といった境問題が生じています。

 私たちは、森や海、川と共に生きてきた伝統的な暮らしをもう一度見つめ直し、その中から、これからの持続可能な社会を考えるヒントを得られるのではないかと考え、全国の高校生の皆さんに呼びかけて、10年前に「聞き書き甲子園」をはじめました。
「聞き書き甲子園」には、毎年全国から100人の高校生が参加します。高校生は、造林手、炭焼き職人、木地師、漁師、海女など、自然と関わるさまざまな職種の“名人”を訪ね、一対一で「聞き書き」をします。

「聞き書き」とは、話し手の言葉を録音し、一字一句すべてを書き起こしたのち、ひとつの文章にまとめる手法です。話し手の語り口でまとめられた文章からは、“名人”の人柄が浮かび上がり、参加高校生はこの「聞き書き」を通して、名人の知恵や技、そして生きざまやものの考え方を丸ごと受けとめ、学びます。

 「僕らの仕事は、木が教えてくれるんです」
 「森を育てるのは子供を育てるのと一緒」
 「人生っちゅうのは一生勉強」

 長い経験を経て生まれた名人の言葉を受け、高校生は自然と人の暮らしのつながりや、その後の将来を考えるようになったと語ります。

 そして、この名人との出会いを経た「聞き書き甲子園」卒業生の中には、森や海、川、名人の住む日本の農山漁村の暮らしに関心を持ち、ここで学んだ大切なことを自分たちの手で人へ伝えていきたいと、森づくりや地域づくりを継続して行っている人もいます。

 森、海、川といった自然、そして世代を超えた人と人とのつながりの大切さを知り、そこから人と自然が共存する持続可能な未来を築いていく。この「聞き書き甲子園」を通して、多くの高校生に、その新たな一歩を踏み出してもらいたいと考えています。

2016年5月
聞き書き甲子園実行委員会

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